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吉川 佑人
『Barbie / バービー』鑑賞
8/15
『Barbie / バービー』
毎日が完璧で沢山のケンとバービーらが夢のような日々を送る世界”バービーランド”に住む<定番型>のバービーに異変が現れ、恋人ケンと共に原因を探りに訪れた人間界で完璧さとは程遠い世界の秘密を知りマテル社に追われながら奇跡を起こす秀作SFファンタジー

“自分”である事は素晴らしい!

ドール界に革命を起こし続け、常に時代を先回りして来た超人気ドール”バービー人形”という子供たちの玩具を題材に現代社会においての風刺を大胆かつポップな大衆向け作品にしたブラックコメディなのに、女性目線と男性目線の双方から見ても抱き締められるような意義深い作品。

女性が主導権を握り、理想と幸福故に変化を恐れ誰もが逸脱出来ない役割の中に身を投じるディストピア=バービーランドと対になる世界として上手く描かれた女性に多くを求めながら下に見る男性上位の人間界。
そんな理不尽で過酷な世界での「生き方」を問うた描写に圧倒された!

天の声/ナレーション
最初から最後まで、色々な事に対して解説や鋭いご指摘をするもんだから聞いてるだけで楽しめた。
映画館でドッと笑いが起きていたのは人間界から戻って来て落ち込むバービーの発言に対して「マーゴット・ロビーが言うと説得力が無い」って台詞🤣



バービー (定番型)
女の子の誰もが羨む美貌とスタイルそれに艶々な金髪を併せ持つ笑顔が素敵な美女ながらも人一倍”変化”を恐れる女性であり、自身の存在が女の子に勇気を与えると頑なに信じている。


パステルカラーのピンク色の家や世界で人間サイズのバービーを違和感の無いPOP女子感満載で演じただけでなく「地球上の誰もがバービーを知っていて、彼女を演じながら深遠で愉快な物語を描きたい。
勿論キラキラしている世界を」と映画化の権利を獲得しプロデューサーとしても参加しているマーゴット・ロビーの演技力と手腕が最大限に発揮されていた作品として見るのも大いに楽しめた!

予告編でも使われていた「2001年宇宙の旅」のパロディを赤ちゃん人形で遊んでいた少女たちの前に彗星の如く現れた存在として見せた初代バービーの存在感とか滅茶苦茶笑ったわ!
写真は本編中の中で一体何回?と思える目まぐるしく変わる衣装チェンジだが劇中で彼女の変化や経験に伴っている演出が実に見事!




ケン(定番型)
バービーの添え物として永遠に曖昧な恋人という設定で彼女を想い続ける金髪&筋肉体質なナイスガイ!
でも彼女を想ったり男性として見て貰えぬ辛さのあまり、偶に暴走しがちなコミカルな男性としても素晴らしい👏
多様な役所を演じて来たライアン・ゴズリングのある意味で振り切った演技が見れるだけでは無く可愛かったり、美声で歌を歌いまくったり見かけに寄らずピュアな一面を持った1人の男性としてのケンを見ることが出来て本当に助演男優賞ものの演技だった。
作品を通じて物凄く男性のブッ刺さる人には刺さりまくって仕方がない想いを遂げられぬ男性の存在意義と息苦しさや不満を現代社会においての代弁者の様な立場に反映させ、それを自然と描いて見せている天才的演出の運び方とそれを観客に意識させずにキャラクターに没入させるライアンの名演が素晴らしい!
「愛する人に自分を少しだけでも眼中に、もっと目を向けて欲しい」という切実な心情を受け止めて貰いたい。
激推し✨

序盤でキスをせがむケンを前にしてキスで返しもしなければケンの「お泊まりしたい」に「何するの?」で済ましてしまう鈍感なバービーとの会話劇場が本当に2人の関係性を表しているかの様で笑っちゃうんだけど男女共に感じる事が違うであろうこのシーンは多分永久に好きだし複雑な気分になる…



社会風刺を取り入れた社会派映画でありSF映画であったりと見る人によって見所や不満点が変わる今作だが、製作陣がドリームハウスを実際に作ってしまう熱量とファッションにもとことん拘ったセットを含めたバービーランドは視覚賞取って欲しい✨

元々人形なのだからシャワーを浴びるにしてもマグカップを使い紅茶を飲んだりしても液体は無い。
それに人形は持ち主によって持ち上げ、下げられるから階段など無いという演出における説得力のある説明には思わず「なるほど!」と唸ってしまう。

“You Can Be anything.
(なりたい自分になれる)”
をバービー人形が世界に対して発信して来たこの言葉に補足するかの如く今作の監督であるグレタ・ガーウィングが伝えたかったのは、
“あなたは最初から特別、何者にも憧れ何かになろうとしなくても、そのままのあなたで大丈夫”
という明日へのエールです。
☆☆☆☆

